デジタル化の波が暮らしを変える -生活DX定点調査―
博報堂生活総合研究所が実施した「生活DX定点調査」によると、私たちの暮らしの中でデジタル化が急速に進んでいます。特に、キャッシュレス決済や情報収集の場面では、その変化が顕著に見られます。
これまで「現金派」だった人々も、電子決済の便利さを実感し始め、情報を得る手段としてスマートフォンを活用することが当たり前になってきました。では、具体的にどのような変化が起きているのでしょうか?
少額決済のデジタル化が進行中
日常の買い物で電子マネーやQRコード決済を利用する人は52.9%に達しています。
かつては「クレジットカードは高額の支払い向け」「現金の方が安心」という考え方が一般的でした。しかし、電子マネーの普及により、コンビニやスーパー、カフェなどで現金を使わない人が増えています。
「財布に小銭を入れなくなった」「スマホだけで買い物できるのが便利」と感じる人も多く、今後さらに普及が進むと考えられます。
また、キャッシュレス決済の利便性を支えているのが、ポイント還元や特典サービスです。例えば、電子マネーを利用することで、ポイントが貯まり、実質的な割引が受けられることも。これにより、「キャッシュレス決済=お得」という認識が広がり、若い世代だけでなく、シニア層にも利用が広がっています。
情報収集もスマホが主流に
インターネットで商品情報を調べる人は59.5%、ニュースをチェックする人は57.9%と、どちらも過半数を超えています。
特に、スマートフォンの普及により、情報収集の手段が大きく変化しました。以前は新聞やテレビが主要な情報源でしたが、今ではSNSやニュースアプリを活用して、リアルタイムで情報を得る人が増えています。
また、動画を活用した情報収集も一般的になっています。例えば、料理のレシピやDIYの方法、家電の使い方などを、テキストではなくYouTubeやショート動画で学ぶ人が増えているのです。この流れは、今後も加速すると考えられます。
コミュニケーションの変化も
リアルな場での交流が減り、オンラインでのやりとりが増加しています。
例えば、オンラインゲームを楽しむ人は43.3%、恋愛のきっかけがオンラインという人は22.4%、友人や恋人とオンライン上でおしゃべりしたり動画を一緒に見る人も22%程度います。さらに、オンラインデートをする人も14.6%と、かつては考えられなかったデジタル化が進んでいます。
特に若い世代では、LINEやSNSを通じた会話が日常的になり、「直接会うよりも、オンラインでつながる方が気楽」と感じる人も少なくありません。一方で、デジタル上のつながりが増えることで、「リアルな交流が減ってしまった」「顔を合わせないことで、深い関係を築きにくい」といった声もあります。
仕事も医療もデジタル化
働き方の面では、オンライン会議の普及率が33.6%。
テレワークの浸透により、通勤時間の削減やワークライフバランスの向上が期待されています。一方で、対面の会議と比べて「雑談が減り、意思疎通が難しくなった」と感じる人も多く、業種や職種によっては、オンライン会議のデメリットも指摘されています。
また、オンライン診療の利用率はまだ8.7%と低めですが、今後の発展に期待が寄せられています。
特に地方や過疎地域では、医療機関へのアクセスが限られているため、オンライン診療が広がれば、医療の利便性が大きく向上すると考えられます。ただし、オンライン診療が普及するためには、患者の不安解消や制度の整備が必要不可欠です。
デジタルとアナログのバランスが鍵
デジタル技術は、私たちの生活をより便利にし、効率化をもたらしています。
一方で、「便利さ」を求めすぎると、人とのリアルなつながりが希薄になったり、デジタル疲れを感じることもあるかもしれません。
これからの暮らしでは、デジタルとアナログのバランスをどう取るかが重要になりそうです。
例えば、普段はキャッシュレス決済を活用しながら、地元のお店では現金払いをするなど、場面に応じた使い分けを意識するのも一つの方法です。
また、オンライン会議を活用しつつも、定期的に対面での打ち合わせを取り入れることで、関係性を深める工夫もできます。
まとめ
今回の調査結果からは、デジタル化が日常のあらゆる場面で進んでいることがよく分かりました。
特にキャッシュレス決済、情報収集、コミュニケーション、働き方、医療といった分野では、デジタル技術が当たり前のものになりつつあります。
しかし、すべてをデジタルに頼るのではなく、アナログな手段も大切にすることが、これからの豊かな生活につながるのではないでしょうか。みなさんは、デジタル化の進展をどう感じていますか?
(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)