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2024年10月に火災保険が大幅値上げ!家計で取るべき対策は?

カテゴリ: コンシェルジュ通信 公開日:2024年09月11日(水)
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はじめに

2024年10月、大手損害保険会社4社が火災保険の保険料を平均1割引き上げることが発表されました。自然災害が増加する中で保険金の支払いが増え、これに伴い保険料も上昇しています。今回の改定は家計に大きな影響を与えるため、保険内容の見直しや家計での対応が重要になります。本記事では、保険料の値上げの背景と、家計で取るべき具体的な対策について解説します。

 

火災保険料の値上げ背景

2023年、損害保険料率算出機構は火災保険の「参考純率」を改定しました。「参考純率」は、損害保険会社が保険料を設定する際に参考とする指標で、特に火災や自然災害等各種リスクを反映しています。参考純率の見直しの背景には、毎年のように発生する大規模な台風や豪雨などの自然災害の増加があります。これにより、保険会社が支払う保険金の額は年々増加しています。さらに、建築費や修繕費もここ数年で大幅に上昇しており、適切な保険料の維持が求められています。

 

2024年10月以降の契約について、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険、損害保険ジャパンといった大手4社が相次いで火災保険料の引き上げを決定しました。損害保険料率算出機構が示した水災リスクに応じた地域別の細分化(1等地から5等地までの5区分)を参考にリスクの高い地域ではさらに高額な保険料が適用されることになります。参考純率の改定によって、保険契約者間での負担の公平化を図ることも、今回の改定の目的です。

 

 

値上げの影響

今回の改定により、全国平均で約10%の保険料値上げが予想されていますが、地域によってはさらに大きな上昇が見込まれます。特に、洪水や土砂災害のリスクが高い地域では、水災補償にかかる保険料が著しく上昇する可能性があり、家計に大きな負担がのしかかることが懸念されます。

 

例えば、東京都のように都市部でも一部のエリアでは、洪水リスクが高いため、従来よりも高い保険料が課される場合があります。反対に、水災リスクが低い地域では、保険料の上昇が比較的小幅にとどまることもあります。これらの違いにより、同じ保険商品でも地域によって負担額が大きく異なることが予想され、消費者が自分のリスクに見合った補償を選ぶ重要性が増しています。

 

 

家計での対応方法

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保険内容の見直し

保険契約を見直す際に、特に重要なのが補償内容です。火災保険には火災だけでなく、風災や水災、盗難などの補償が含まれていますが、必ずしもすべてのリスクに対する補償が必要であるとは限りません。例えば、水災リスクが低い地域に住んでいる場合、水災補償を外すことで保険料を削減できる可能性があります。逆に、水災リスクが高い地域では、補償を強化することも検討すべきです。

 

ここで重要なのが、ハザードマップの活用です。自分の住んでいる地域がどの程度の水災リスクにさらされているかを、国や自治体が提供するハザードマップを確認することで正確に把握できます。これにより、必要な補償を見極め、自分に合った保険内容を選ぶことが可能です。洪水リスクが高い地域では、水災補償は欠かせない要素となりますが、リスクが低い地域ではその分の保険料を削減することが可能です。ハザードマップを確認することで、保険内容を適切に選ぶ判断材料が得られます。

免責金額の設定

保険料を抑えるための一つの方法として、免責金額(自己負担額)の設定が挙げられます。免責金額を高めに設定することで、保険料を削減することが可能です。ただし、免責金額が高いと、小さな損害には保険が適用されなくなるため、自分のリスク許容度と家計のバランスを考慮して設定することが大切です。特に、過去に大きな被害を受けた経験がない場合、ある程度の自己負担を許容することで、年間の保険料を軽減することができます。

長期契約による割引活用

保険会社によっては、複数年契約(最大5年)をすることで保険料が割引されるケースがあります。長期契約によって1年あたりの保険料負担を軽減し、値上げの影響を分散させることができるため、見直しの際にこの割引を活用することをお勧めします。長期契約は、保険料の一時的な負担が大きくなる一方で、総額としてはコストを抑えることができるため、家計に余裕がある時には有効な手段です。

複数の見積もりを比較することの重要性

また、同じ補償内容であっても、保険会社によって保険料に差が出ることがあります。各社はそれぞれ異なる割引制度を提供しているため、最適な契約を選ぶためには複数の保険会社から見積もりを取って比較することが大切です。例えば、インターネット割引やオール電化割引など、会社ごとに異なる割引制度を採用しているため条件が異なるため、自分に合った割引を活用することで、保険料をさらに抑えることができます。見積もりを取り、補償内容と保険料のバランスを検討することで、無駄なコストを削減することが可能です。

 

 

保険の見直しに合わせてFCP-家族継続計画-の検討を

保険は経済的なリスク対策として非常に重要ですが、実際に災害が発生した際には、保険だけでなく事前の備えや初動対応も重要です。そこで、保険の見直しと合わせて、家族全員が共通理解を持てる「FCP(Family Continuity Plan-家族継続計画)」の策定を検討しておくと、より安心です。

 

FCPでは、災害の発生を未然に防ぐための事前対策や、万が一災害が発生した際の初動対応の計画を立てます。例えば、火災や地震が発生した場合の避難場所の確認や、連絡手段の確認など、家族全員で共有することで、迅速かつ適切な行動を取ることができます。また、重要な書類や貴重品の保管場所の確認、備蓄品の用意など、発生後の混乱を最小限に抑えるための準備も含まれます。

 

保険は経済的なリスクを補うための重要なツールですが、リスク自体を減らすための努力や、発生後の対応を家族で共有することによって、さらに安心して生活を送ることができます。FCPを通じて、家族全員が災害や緊急事態に対する準備を整えることで、初動対応やその後の生活再建をスムーズに進めることが可能です。

 

例えば、火災が発生した際にすぐに避難できる経路や集合場所を決めておくことで、家族が分散している状況でも合流が可能になります。また、災害時に必要な連絡手段や、スマホの電源が切れた場合に備えた緊急連絡カードの準備、避難時に持ち出すべき必需品のリストを作成しておくこともFCPの重要な要素です。

 

火災保険の見直しと併せて、家族全員でFCPを作成し、万が一の災害に備えた実際的な行動計画を立てることで、リスクを大幅に軽減し、家計と安全を守ることができます。

 

 

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(執筆:ファイナンシャルプランナー 平野泰嗣)

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